広島駅南地区B・Cブロック再開発

  • 中国
  • 2010年代

異なる事業手法で開発された二つの再開発

広島駅南地区のまちづくり

  再開発前の広島駅南口は、社会経済活動の高度化と消費者ニーズの多様化等の環境変化から取り残され、老朽家屋が密集した、多くの課題を抱える地域となっていました。広島市が昭和56年にまとめた広島駅南口の基本計画では「広島駅表口」とよばれ、4.5ヘクタールの再開発区域をA・B・Cの3ブロックに区分しています。当時の報告書によると再開発の賛同意向はAブロックが90%、Bブロックは67%、Cブロックは58%といった状況でした。まずAブロックが平成11年にエールエールA館としてオープンし、Bブロックについては昭和63年の都市計画決定後、数回にわたり事業化案の変遷を経ることとなり、結果的に平成28年B・Cブロックが同時に竣工を迎える事とりました。ここではRIAが参画したB・Cブロックの再開発事業について述ます。

開発前のB・Cブロックの状況

3ブロックの位置関係

完成後のBブロック(左)とCブロック(右)

 

広島駅南口Bブロック再開発
BIG FRONT ひろしま

広島の陸の玄関口に「この場所でしか生まれない価値」を創る

 BIG FRONT ひろしまは、中国・四国・九州地方の分譲マンション最高層となる52階建ての超高層マンションと商業、業務、ホテル、公益施設及び駐車場によって構成された12.5万㎡を超える大規模複合開発です。
 広島の陸の玄関口に「この場所でしか生まれない価値」を創る。 広島駅南口地区は、紙屋町・八丁堀地区と並ぶ「広島楕円形の都市づくり」の東西の核として位置づけられていますが、長期にわたって開発が進まず衰退していました。

JR広島駅から望む開発前の状況

 事業構築のポイントは、施設全体の価値を高めていくことでした。 行政の求める都市の顔づくり、事業採算性の確保、地権者の生活再建、開発業者の戦略、これらすべての条件を満たすため、都市再生特別地区を活用し、①圏域最高高さのビル、②大規模住宅供給による共用部の充実、③中間免震構造の採用、④JR広島駅との連絡、⑤大規模な自走式駐車場の併設などによって、広島最高レベルのランドマークタワーが計画されました。

 

事業化のブレイクスルー

 当地区最大の特色は、2段階施工を採用した点にあります。具体的には、大口の地権者店舗の営業を継続しながら、その店舗以外について解体工事と施設建築物新築工事を先行し(第1段階)、東側の一部について建築基準法の仮使用による部分竣工・引渡しを受けて(1期完成)、新しい店舗へ移転し営業を再開、もとあった店舗を解体して、残りの工事を行いました(第2段階)。西側に比べ東側は比較的低層なので、東側の2期は残りの工期の中で完成することになります。その後は、東側2期の完成、その後の全体竣工となりました(全体完成)。2段階施工により地権者の営業損失の最小化・生活再建を実現するとともに補償費が抑制され事業採算性が向上しました。

まちと建物の関係をデザインする

 商業・業務・ホテル・公益施設の機能は、既存の街の高さ(地上50m)の中で再構成して、街の連続性を守り、その街の上に新たな地盤を構成して集合住宅を計画することで、駅前の好立地に建つ高質な居住環境を生み出しました。

12階のグランドロビーから市内中心部を望む

南側外観は猿猴川との調和を図り、建物内にリバーサイドビューを取り込んでいます

猿猴川から望むBIG FRONTひろしま

2階のデッキエントランスホール

 

広島駅南口Cブロック再開発
EKICITY HIROSHIMA

広島の玄関にふさわしい都心再生拠点

 広島駅南口駅前広場に隣接する老朽化した愛友市場は終戦直後の闇市から発展し、新鮮な商品を供給ことで市内はもちろん周辺部からも買い物客が絶えない賑やかな市場でした。しかしながら近年では集客力が低下し、街の再生が大きな課題でした。高齢化と施設の老朽化に対する不安から市街地の再生検討が始まったのです。
 再開発としては平成125月に地元の勉強会がスタートしています。この地区の開発は特定業務代行と保留床取得者が一体となって進める、建設業務代行方式の組合施行第一号の事業として進められました。この方式は平成16年の準備組合設立時に、既往の再開発手法では「保留処分見込み」と「地元の開発への同意」を一定期間内に成立させる見込みが立たないという理由から提案された事業手法です。

Cブロックの従前の様子

 Cブロックの開発コンセプトは、「広島のあたらしいシンボルとなるまち」「住む人や訪れる人の健康に寄与するまち」「世代を超えたコミュニケーションが生まれるまちを」です。広島市の地域整備計画の基本理念としてある「広島の玄関にふさわしい都心再生拠点」として位置づけ、充実した商業空間や快適な居住空間、歩いて楽しい賑やかなまち、広い歩道・デッキによる魅力的な動線を計画の配慮事項としています。

低層部のオープンスペースと歩行者動線

 

愛友市場の新たな創造

 当地区は、愛友市場として市民に親しまれてきたことから、市場の雰囲気を残した店舗計画が期待されていました。
 実際には、様々な事情により再開発ビルに出店を希望する店舗が少なくなってしまいましたが、それらの数少ない店舗を中心に市場風のエリアを形成し、『愛友ウォーク』と名付けました。

にぎわいを取り戻した愛友市場「愛友ウォーク」

愛友ウォーク入口広場

 

球場へ繋がるペデストリアンデッキ

 当地区は、カープロード(広島市民球場に向かう道路)に面しており、野球開催時は、広島駅から球場まで歩行者で混雑しており、安全を確保する必要があります。
 広島駅の工事も進んでいますが、将来的には駅ビルの建て替えも検討されており、駅から当地区の再開発ビルを通り、広島市民球場までの歩行者動線を確保するため、地区内にデッキを設けた計画としています。
また、このペデストリアンデッキと共に歩道幅員も拡幅してより安全で快適な歩行者空間を形成しています。
 デッキの中央部には、イベントの開催も行えるような広場を配置し、その一角に従前地区内にあった友元神社を設置しています。

駅広場から球場へつづくカープロード

まちの精神的なシンボルとなっていた友元神社を、デッキに面して再配置している

年表TIMELINE

年代 できごと
年代できごと
1981年広島駅表口周辺地区市街地再開発事業基本計画を策定(広島市)
Bブロック 再開発準備組合設立
1988年Bブロック 都市計画決定(高度利用地区・市街地再開発事業)
1992年Bブロック 再開発組合設立
2008年Bブロック 都市計画決定(都市再生特別地区)
2011年Cブロック 都市計画決定、建設業務代行者を選定
2013年Bブロック 施設建築物着工
2014年Cブロック 施設建築物着工
2015年Bブロック 1期仮使用開始
2016年Bブロック 全体竣工
Cブロック 権利変換計画変更、事業計画変更、施設建築物竣工

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