DAIKANYAMA T-SITE

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分棟型配置によるまちなみの継承

歴史あるエリアでの新たなブランド実現にむけて

カルチャーコンビニエンスクラブ(以後CCC)とは渋谷Q-Frontビルの設計監理でお世話になって以来、10年以上にわたって地方出店時検討のお手伝いなどをしながら良い関係を築いてきていました。今回RIAが代官山T-Siteのプロジェクトに参画できた理由の一つには、これまでのお付き合いの中でRIAが複雑な計画手法や事業手法を得意としていることをCCCが理解していてくれたことが挙げられます。

2009年2月、最初の計画は旧山手通りに面する南側半分の敷地の検討から始まりました。代官山は古くからの武家や商家の屋敷が佇んでいたまちです。旧山手通りに連続する街路樹や巨木が残る緑豊かな風景を持ち、近年においてはヒルサイドテラスの建築群が40年あまりの時をかけて上質な空間と歴史を継承し、文化を育んできました。ここに団塊・ポスト団塊の世代をターゲットとした、落ち着いていて上質な新しいブランドを実現することがCCCのミッションでした。

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ヒルサイドテラスと隣接し、周辺にはエジプトとデンマークの大使館が立地する。

DAIKANYAMA T-SITE

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外資系航空会社の寮だった計画地の従前の様子。緑に囲まれた環境を極力残す方向で計画が進められた。

 

敷地の使い方からの検討で法規制に適合

当初、北側の敷地はNTT都市開発が単独で開発予定でしたが、CCC 増田社長の熱意のこもった交渉により、北側とRIAが携わる南側の敷地を一体的に開発することが決まりました。

また、計画地は住居専用地域にあたり、一敷地に建てられる店舗の面積が北側敷地で150㎡、南側敷地1500㎡に制限されており、そのままでは広大な敷地を最大限に活用することができませんでした。そのため、RIAに与えられた最初の課題は、法的な整理からこの条件をクリアすることに。RIAは当初、一団地申請や地区計画を用いる方法も検討しましたが、それでは事業主であるCCCのスケジュールと折り合いがつかなかったため、断念。最終的には、関係各所との協議を繰り返し、敷地を北側9敷地8建物、南側3敷地3建物に分割することで、複雑な法規制に適合し、かつ周囲のスケール感に溶け込んだ配棟計画とすることになりました。

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初期の2棟案から3棟案・4棟案、北側の敷地が加えられてからの11棟案と変遷していった。空間性、事業性、法規制を考慮したスタディを繰り返し、最終的に最もバランスの良い11棟案で決定した。
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最終的な配棟図。緑の木立の中に大小の建物が佇む。 設計は、デザインアーキテクトとして選定されたクライン・ダイサムアーキテクツのコンセプトを加味しながら進められた。11棟にもなる計画のため、確認申請も11棟分必要であり、コストコントロールも非常に複雑なものとなったが、約2年の設計~工事期間を経て2011年12月オープン。
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T-SITEを上空から見ると周辺の街並みのスケールと調和していることがわかる。

 

代官山の情景に調和する新たな商業施設の創出

低層で良質な建築がまちなみを形成するこの地にあって、ヒューマンスケールな空間づくりや周辺の緑豊かな情景との調和を心がけることで、この土地の持っている力を最大限に活かしました。あらゆる方向からアクセスでき、林の中に見え隠れする大小さまざまな建築群は、内外部にわたり多様なシーンを創り出し、従来のコンプレックス型の商業施設とは異なる、代官山らしい魅力的なシーンの連続する新しい商業施設の一つの姿を目指しています。

 

計画概要

発注者 マスダアンドパートナーズ、NTT都市開発
延床面積 7,904㎡
主要用途 店舗、クリニック、住宅
竣工 2011年

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