センテラス天文館は、南九州随一の繁華街である天文館地区のほぼ中心部にあり、広く市民に親しまれてきた百貨店を中心とした2つの街区を一体的に整備する再生プロジェクトです。当事業は、市街地再開発事業の手法を用いて、平成25年の研究会設立を契機に検討がスタートしました。
天文館地区は、昼夜、老若男女が集う、多様なニーズが混在する地区であり、これを最大の魅力として捕らえ、広場・商業(飲食、物販、サービス等)・図書館・ホール・オフィス・ホテル・展望フロアなど多種多様な用途を備えた複合施設として、様々な目的の人々が集まり、賑わう施設を目指しました。
地域を繋ぐ多彩なパブリックスペース
施設と地域、そして地域のコミュニティをつなぐ重要な場所と考える1階の広場(センテラススクエア)は、設計初期の段階からワークショップ等を通じて地元商店街の方々や学生達と議論を重ね、ソフトやハード面に関するアイデアを募り、地元の想いを繋いだ、魅力的な場所となることを目指しました。
また、多目的ホールや屋上庭園、展望フロア・レストラン等のパブリック空間を中心に、交流が生まれ、「鹿児島らしさ」「居心地が良い場所」というテーマのもとに創り上げた環境により、様々な人の動きが生まれることが期待されています。
広場のデザインは「天文館」という場所性を意識した。広場の床は御影石を大島紬・薩摩織のイメージでパターン貼り、天井は薩摩切子をモチーフにした多角形の金属パネルで構成し、天井の照明は天体・星空をイメージし、光の照度や色が変化するようプログラムしている。施設を訪れる人々や街に対して、時間の経過とともに変化する施設の表情をつくっている。
まちの賑わいと回遊性を承継
電車通りに設置されていた古いアーケードは、本計画にて歩道上に約6.5mの片持ち構造の庇を設ける新たな形でのアーケードとして再生し、屋根付きの歩道空間として、バスを待つ人々のスペースとして機能しています。また、100m以上ある街区の長さに対し、庇の高さを変え、通りや歩行者空間にリズムと賑わいを提供しています。
また、2つの街区を通り抜ける市道を廃道し、都市計画で定めた通路として、従前の人の流れを敷地内に確保するなど、かつての賑わいと回遊性を承継しています。
官民連携による一体的な商空間の形成
本施設の4、5階に配置した鹿児島市立図書館(天文館図書館)は、低層階の商業施設からの連続性を重視し、官民の境界なく、デザインの統一を図っています。また、隣接するカフェ等とは、視覚的にも動線的にも境界が感じられない、一体的で開放的な空間を創出しています。また、施設内のトイレは、地元の地権者の方とも議論を重ね、設計段階から一緒につくり上げました。
自由度の高い共有床と施設の一体運営
当事業では、大半の床を「共有」での所有としており、地元地権者の出資で設立した㈱千日1・4開発がこれらの運営を担うことで、計画当初からの理念であった「施設の一体的な管理運営」が実現しています。また、所有と運営を分離することは、将来的にも自由度の高い運営を可能としています。
計画概要
事業名称 | 千日町1・4番街区市街地再開発事業 |
名事業者 | 千日町1・4番街区市街地再開発組合 |
敷地面積 | 6,086㎡ |
延床面積 | 36,645㎡ |