シティタワー武蔵小山(武蔵小山駅前通り地区再開発)

  • 関東・甲信
  • 2020年代

都市ポテンシャルを最大限に引き出しつつ、
地域の魅力を継承・再構築するまちづくり

 シティタワー武蔵小山(武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業)は、武蔵小山駅周辺における連鎖的なまちづくりの先導的プロジェクトです。
 商業・賑わいの衰退や建物老朽化、脆弱な都市基盤といった様々な課題を抱える住商混在の高密市街地において、市街地再開発事業により品川区の西の玄関口にふさわしい魅力的な複合市街地の形成に寄与しています。
 riaは事業コンサルタント・設計者として当プロジェクトに参画し、地元の方々と共にまちづくりの検討・事業の推進を図ってきました。

(左:当地区区域図、右上:従前俯瞰写真、右下:従前の街並み(駅前通り商店街))
 品川区の西の玄関口である武蔵小山は、東急目黒線で目黒駅より2駅目に位置し利便性が非常に高く、また、駅周辺には日本有数のアーケード型商店街「武蔵小山商店街パルム」をはじめとした古くからの商店街が多数立地する賑わい溢れる市街地として知られています。
 区域内は、かつては「武蔵小山駅前通り商店街」として数多くの商店が軒を連ねていましたが、駅や商店街パルムから少し離れた場所に位置していたため、近年は空店舗の増加、商店主の後継不足など、将来的な賑わい衰退が懸念される状況にありました。

駅周辺における連鎖型まちづくりの先導的プロジェクト

 東急目黒線の連続立体交差の事業化を契機に、駅周辺におけるまちづくり気運が高まりつつある中、平成16年に「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく街並み再生方針(以下、「しゃれ街」)が「武蔵小山駅東地区」として都内第一号として指定され、その後、駅周辺では様々な共同化等が検討されてきました。
 その中で、当プロジェクトは平成17年に再開発の検討準備組織が設立され、隣接する「武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発事業(以下、パルム地区再開発)」とともに、駅周辺における大型再開発の先導的プロジェクトとして具体的な事業化に向けた検討がスタートしました。

(左:駅周辺における開発状況図(令和4年4月時点)、右:当プロジェクトの経緯)
 平成17年に具体的な事業化検討がスタートした当プロジェクトですが、度重なるコンサルタントの変更や様々なトラブルなど、事業化に向けた検討は決して平坦なものではありませんでした。地元の方々の大変なご苦労の中、平成23年にriaが参画することとなり、riaには事業の早期実現に向けた適切な計画立案が求められていました。その後、対象区域の拡大や計画ボリューム・交通計画等の大幅な見直しを経て、平成26年に再開発事業の都市計画決定が為されることとなりました。
 周辺地域においては、当プロジェクト完成後の現在においても、「武蔵小山駅東地区」区域内並びに駅西側エリアで新たにしゃれ街に指定された「武蔵小山賑わい軸地区」において、連鎖的・段階的なまちづくりに向けた具体化が展開されています。

隣接する再開発事業との連携・協調

 当プロジェクトの立案にあたっては、周辺地域や当事業と並行し事業検討が進められていたパルム地区再開発との連携・協調が必須であり、これら双子の再開発を支える都市インフラや地域一体での歩行者ネットワークの形成、ランドマークの創出、良好な景観・街並み形成、地域防災など、様々な観点で両地区の協働により計画検討を行いました。

(左:ネットワーク図、右:2棟が並ぶ再開発(写真左が当プロジェクト))
 交通基盤として、隣接再開発により新設整備される区画道路にあわせ、当プロジェクトでは道路拡幅や道路付け替え整備を行い地区全体でループ状の道路ネットワークを形成しています。
 歩行者空間については、隣接再開発だけでなく周辺地域との連続性にも配慮し、区域内の随所に通路や広場等を配置することで、地区全体の回遊性向上に寄与する計画としています。

都市ポテンシャルを最大限に引き出しつつ、かつてのまちの魅力を継承・再構築

 武蔵小山駅周辺は交通利便性が非常に高く、商店街パルムをはじめとした賑わいある街並みが広がっています。一方、少し脇道に入ってみると、界隈性のある路地裏に小洒落たお店、その先には静かな緑の散歩道やちょっとした広場で談笑するご婦人や高校生たち、そんな温かみのある魅力が見つかる街です。
 施設の低層部は、かつての商店街の賑わいを継承する路面型の店舗群やウェルカム広場といった賑わいのあるゾーン、四季折々の緑が楽しめる散策路や街なか広場などの静かで落ち着きのあるゾーンで構成されています。
 特色ある2つのゾーンを繋ぐように、貫通通路、広場や通路沿いの大小様々な階段、2階店舗等を繋ぐゆとりあるデッキ空間(ウェルカムテラス)を設けることで、立体的な回遊性を生み出すとともに、まちの隠れた魅力の継承・再構築を図っています。

(上:低層部における立体的な回遊動線の概念図、左下:区域東側の歩行者通路写真、右上:街なか広場写真)
 2階東側には、新たな地域コミュニティ形成に寄与する公益施設(品川区出張所及び区民集会所)を配置しています。
 住宅エントランスは、街なか広場と貫通通路に面した静かで落ち着きのある場所に配置しています。  街なか広場は品川区に移管する公園で、地域の方々を対象とした名称公募により「コヤマ サン スクエア」に決定しました。

(北側低層部夕景写真)
 ウェルカムパークと駅前通りの賑わい空間、奥にある大階段さらには2階のウェルカムテラスへと人々を誘引する設えとしています。

計画概要

事業名称 武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業
(施設名称:シティタワー武蔵小山)
施行者 武蔵小山駅前通り地区市街地再開発組合
施行面積 0.7ha
延床面積 53,500

 

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