駅と川、まちをつなぐ
駅(名古屋鉄道「東岡崎駅」)から延びるペデストリアンデッキと、施設に設置された回廊テラス、川沿いの緑地(乙川河川緑地「明代橋公園」)をつなぎ、人々を乙川へ、更には市街地へと導くまちのアプローチ空間を創出しました。駅、川、まちが近接しているにもかかわらず、水辺を感じさせる空間が乏しかった駅周辺に、川に開いた空間形成を実現させ、まちのアイデンティティを強めています。
新世紀、岡崎の櫓
施設が立つ岡崎市は徳川家康公生誕の地であり、岡崎城を中心とする城下町です。設計コンセプトを「新世紀、岡崎の櫓」とし、外観にはテラスなどのビュースポットを象徴的に配置、色彩には瓦の黒や漆喰の白を施し、石工で有名な岡崎の御影石を活用、河川緑地に残る桜を保存するなど、江戸情緒も彷彿させる新しい河川風景を作り出しています。
OKAZAKIリブランディング
施設の建設地は「日常と非日常の魅力を合わせ持つ場所」であり、この立地特性による利用者層の幅広さを活かしながら日常と非日常の効果的な融合を図り「岡崎の文化を継承し発展させる拠点」を目指しました。そのためのテーマを「OKAZAKIリブランディング」とし、次の二つの機能の導入を図りました。
①岡崎観光の起点となる「まちのコンシェルジュ機能」
・ホテル機能を核として、来街者の岡崎観光をサポートする機能を配置。
・市と協力した観光の起点づくり。
・利用者の増加や観光振興に寄与する駐車場の整備。(パークアンドライド)
②岡崎の伝統と時代感度の「コネクト機能」
・岡崎の伝統と日常生活を快適に送るための時代感度を結びつけるコンセプトを持った施設づくり、店舗導入。
・多様なライフスタイルに対応したカジュアルなカフェやレストランを配置。
・公園や川に開いた商業施設を配置
タウンマネジメント組織の創設
事業着手にあたり、地元企業とともにアール・アイ・エーも構成企業となってSPC「東岡崎駅北東街区複合施設株式会社」を組織しました。同組織が母体となり、地元密着企業として市と調整を図りながら、企画・事業計画・プロパティマネジメント・タウンマネジメントを進めました。資金調達にあたっては、事業用地に五十年の事業用定期借地権を設定し、それを土地信託により信託受益権化し、同組織の構成企業でもある地元金融機関が受益権を取得する画期的なスキームで実現しています。
公民連携まちづくり
オトリバーサイドテラスは、市有地と民間所有地からなる事業用地について事業用定期借地権を用いた有効活用を図るために岡崎市が主催した事業により誕生しました。岡崎市では豊富な公共空間を活用し、パブリックマインドを持つ民間を引き込む公民連携プロジェクトを実施することにより、回遊を生み出し、まちの活性化を図る戦略をQURUWA戦略と称して、民間事業者・市民・市が協力して進めています。オトリバーサイドテラス(北東街区)はQURUWAの起点にあたり、公民連携によって川に向かって開くまちづくりの理念を具現化したリーディングプロジェクトとなりました。今後も本施設を起点に、一層の官民連携まちづくりが発展していくことが期待されています。
計画概要
事業名称 | 東岡崎駅周辺地区整備北東街区有効活用事業 |
施行者 | 東岡崎駅北東街区複合施設株式会社 |
施行面積 | 約0.6ha |
延床面積 | 約1.4万㎡ |
年表TIMELINE
年代 | できごと |
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2016年 | 2016年 東岡崎駅周辺地区整備北東街区有効活用事業 募集要項公表 |
2017年 | 事業者選定、事業実施協定の締結(岡崎市・事業者間) 事業用定期借地権設定契約の締結 |
2018年 | 着工 |
2019年 | 竣工、オープン |